
設備稼働率向上の具体的な取り組みとは?低下の原因とデータ活用による3つの改善ステップを解説
製造業において、設備や生産ラインの稼働率を高めることは、生産性の向上や製造コストの削減に直結する重要な課題です。
しかし、現場では稼働率が低下する原因を把握しきれず、「指示を出しても改善が進まない」「設備停止の原因が分からない」「チョコ停の実態が見えない」「設備ごとにデータ収集方法が異なり集計できない」と頭を悩ませる担当者や責任者は少なくありません。
本記事では、稼働率低下を招く「7大ロス」やチョコ停の影響、稼働率の改善・向上に向けた確認ポイント、データ分析を通じた3つの改善ステップを解説します。
あわせて、手作業による集計の手間をなくし、古い設備からもデータを収集し、現場主体の改善を加速させるアットフィールズテクノロジーの「@Fields 設備データ収集」の活用法を紹介します。
稼働率低下の主な原因とは?確認すべきポイント
設備効率を向上させるには、まず「なぜ設備が止まっているのか」「何がボトルネックなのか」をデータに基づき客観的に把握することが大切です。製造現場には生産活動を阻害するさまざまなロスが存在しています。これらを構造的に分類・確認することが、改善への第一歩となります。
なお、製造現場においては「稼働率」と「可動率(べきどうりつ)」という2つの似た言葉があります。これらは混同されやすいため、目的に応じて正しく使い分ける必要があります。こちらの記事で詳しく解説しています。
設備の稼働率を下げる「7大ロス」
稼働率の低下に直結する要因は、主に「停止ロス」「性能ロス」「不良ロス」に分けられ、現場ではこれらを構成する代表的なロスを「7大ロス」と呼びます。
故障による長時間の停止(ドカ停)や、製品切り替えに伴う段取り・調整ロスなどは、稼働時間を直接的に削る要因です。また、不良品発生に伴う手直しや廃棄も、実質的な生産時間を損失させます。
現場では、どのロスがどの程度の割合を占めているかを把握することで、優先的に改善するポイントが明確になります。
7大ロスの分類
停止ロス(時間稼働率を低下させるロス)
①故障ロス
②段取り・調整ロス
③刃具交換ロス
④立上りロス性能ロス(性能稼働率を低下させるロス)
⑤チョコ停・空転ロス
⑥速度低下ロス不良ロス(良品率を低下させるロス)
⑦不良・手直しロス
見逃されがちな「チョコ停」の影響
稼働率低下の原因として特に見落とされやすいのが、数十秒から数分程度で発生する「チョコ停」です。
現場作業者がその場ですぐに復旧できてしまうため、手書きの日報には記録されにくく、管理者が発生頻度や累積ロス時間を把握しづらい性質を持っています。しかし、チョコ停の放置は性能低下を招くだけでなく、設備に負荷がかかり長時間停止(ドカ停)を引き起こす予兆となります。そのため、デジタル技術による正確な可視化が欠かせません。
稼働率を向上させる3つの改善ステップ
勘や経験だけに頼る改善活動は、担当者の交代によって形骸化しやすい傾向にあります。継続的に稼働率を向上させるには、設備の状態をデータで捉え、課題の特定から効果測定までを体系的に進めることが重要です。
現場の課題を段階的に解消し、生産性向上につなげる取り組みについて解説します。
ステップ1.現状の稼働データの収集と可視化
現場では、「設備ごとにデータ取得方法が異なる」「古い設備からデータを取得できない」「手書き日報やExcel(※)集計に膨大な工数がかかる」といった理由から、正確な現状把握が難しいケースも多く見られます。
取り組みの第一歩は、対象設備やラインから正確な稼働データを収集し、「いつ・どの設備が・どのような理由で・どれだけの時間停止しているのか」を可視化することです。
手書きの日報や手入力ではヒューマンエラーやチョコ停の記録漏れが生じやすいため、PLCや後付けセンサーを活用したデータの自動取得へ切り替えることが有効です。設備の稼働状況を客観的な数値で捉えることで、改善前の基準となるベースラインを把握できます。
なお、工場を見える化するメリットや実施方法について、詳しくはこちらで紹介しています。
※Microsoft Excel は、マイクロソフトグループの企業の商標です。
ステップ2.停止要因の特定と分析(ボトルネックの抽出)
次に、収集したデータを分析し、どの設備で停止が多発しているのか、どのようなエラーが特定の設備に集中しているのかを確認して、ライン全体の効率を低下させボトルネックを特定します。
集まったデータに対してパレート図などを活用し、「停止が頻発している装置」や「チョコ停が集中している設備」を洗い出します。また、トラブルの発生件数だけでなく、累積の停止時間や発生時間帯の傾向も深掘りし、停止の要因を突き止めます。
現場の課題を一度にすべて解決しようとせず、停止頻度・停止時間のインパクトが大きく、改善効果の高い箇所から優先順位をつけて対策を進めることが重要です。数値的な根拠を持って優先度を決めることで、無駄な点検作業を減らし、的確に対策を打てるようになります。
ステップ3.改善施策の実行と効果測定(PDCA)
特定した要因に対し、標準作業の見直し、部品の定期交換、清掃・給油の徹底といった具体的な改善施策を実行します。
施策の実行後は同条件で再度データを取得し、「稼働率が何パーセント向上したか」「停止時間がどれだけ削減されたか」を定量的に評価します。数値をベースに評価を行うことで改善効果を現場で共有しやすくなり、次の改善施策にもつなげやすくなります。こうしたPDCAサイクルを継続することが、着実な稼働率向上につながります。
稼働率データを活用して生産性向上につなげる応用ポイント
蓄積された稼働率データの活用は、単なる現状把握にとどまらず、現場の最適化や将来的なトラブル防止にも応用できます。
リアルタイム監視によるダウンタイムの削減
稼働状況をダッシュボードなどでリアルタイムに監視し、異常停止やチョコ停が発生した瞬間に管理者へ通知が届く仕組みを構築します。
「@Fields 設備データ収集」を活用することで、設備ごとの微細な変化や異常の兆候を早期に把握し、設備停止の未然防止につなげられます。また、設備停止が発生した場合も、異常をすぐに検知して発生直後の初動対応を迅速化できます。これにより、トラブル発生から復旧までにかかる時間(ダウンタイム)の短縮や、機会損失の抑制につながります。
データの蓄積による予知保全への展開
設備の稼働データや、温度・振動などのセンサーデータを長期的に蓄積すると、故障の兆候となる「異常パターン」を事前に見つけ出せるようになります。
従来の「故障の有無にかかわらず定期的に部品交換を行う予防保全(TBM)」から、パーツの劣化状態を監視して必要なときだけ対処する「予知保全(CBM)」へ移行することで、保全コストの削減と稼働リスクの低減を両立できます。
これにより、突発的な機械破損(ドカ停)が起きる前に計画的なメンテナンスを実施することが可能です。
なお、予知保全の仕組みやほかの保全方式との違いについて、詳しくはこちらで紹介しています。
稼働率向上のためのデータ収集・可視化なら「@Fields 設備データ収集」
設備稼働率の改善には正確なデータ収集が欠かせません。しかし、紙や日報によるアナログな記録ではヒューマンエラーが起きやすく、集計や分析にかかる手間も膨大になります。
アットフィールズテクノロジーの「@Fields 設備データ収集」を活用することで、現場に負担をかけずにデータを収集可能です。さらに、解析できるデータを自動生成し、設備の状態をリアルタイムに把握し異常の早期発見を支援します。
古い設備からも柔軟に稼働データを自動収集
「@Fields 設備データ収集」は、各社製PLCやアナログセンサーなどからユーザーが取得したいデータを自由に設定・収集できる仕組みを備えています。
そのため、最新のネットワーク対応機器はもちろん、「古い設備のためデータが取得できない」「メーカーや年式がバラバラ」といった現場でも導入が可能です。高額な最新機械へ更新することなく、既存の設備を活かしてスモールスタートでデータ収集を開始できます。
自動加工・変換で現場の分析・改善を加速
収集したデータはシステム内で自動的に加工・変換され、可視化・分析用ディスプレイで確認しやすい形式に整えられます。単にデータを収集するだけでなく、分析しやすい形に自動加工できることが「@Fields 設備データ収集」の大きな特長です。
これまで手作業で行っていたデータ集計やグラフ化の負担を軽減できるため、担当者は停止要因の分析や改善施策の検討など、本来注力したい業務にリソースを集中できます。また、チョコ停の発生状況や設備停止の傾向を継続的に把握することで、改善施策の効果を確認しながらPDCAサイクルを回し、継続的な稼働率向上につなげられます。
まとめ
この記事では、設備稼働率向上のための取り組みについて以下の内容を解説しました。
- 稼働率低下の主な原因とは?確認したいポイント
- 稼働率を向上させる3つの取り組み
- 稼働率データを活用して生産性向上につなげる応用ポイント
- 稼働率向上のためのデータ収集・可視化なら「@Fields 設備データ収集」
設備や生産ラインの稼働率向上には、まず「7大ロス」やチョコ停の影響など、稼働率低下の原因を正確に把握することが重要です。そのためには、現状のデータをデジタルで収集・可視化し、停止要因を特定した上で改善施策を実行するPDCAサイクルを回す必要があります。
また、稼働データをリアルタイムに監視し、予知保全につなげることで、さらなる生産性の向上とダウンタイムの削減が期待できます。
アットフィールズテクノロジーの「@Fields 設備データ収集」は、古い設備やさまざまなメーカーの機械が混在する現場でも、大規模な改修なしで手軽にデータの自動収集と可視化を実現します。手作業のデータ集計や解析の属人化から脱却し、設備停止の削減やチョコ停対策、設備データ活用による継続的な改善を進めたい企業にとって、強力な解決策となります。
設備データの収集・活用方法や導入イメージについては、以下の資料で詳しく紹介しています。




