【製造業】工場の“見える化”はどう進める? 事例やメリット、実施方法を解説
現在、あらゆる分野でDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)が進められています。製造業においても、デジタル技術とデータ活用によって製造工程の最適化や稼働効率の向上を図る“スマート工場(スマートファクトリー)”が注目されるようになりました。
スマート工場の実現は、生産品質の向上や予知保全の実現など、製造現場におけるさまざまな課題改善に役立つと期待されています。このようなスマート工場を実現するための第一ステップが、工場の“見える化(可視化)”です。
製造・品質管理・システム部門や技術部門などの担当者さまのなかには「工場をどのように見える化するのか」「見える化すると何ができるのか」など疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、工場を見える化するメリットや実施方法、見える化によってできることを解説します。
目次[非表示]
- 1.工場を見える化するメリット
- 2.工場を見える化する方法
- 3.工場で見える化を活用する例
- 3.1.生産設備の遠隔監視
- 3.2.人材育成・技術継承
- 3.3.エネルギー管理による省エネ化
- 3.4.データ解析による要因究明と対策
- 4.まとめ
工場を見える化するメリット
工場の見える化とは、設備の稼働状況や製造情報、業務内容などをデータで残して明確化することです。
▼工場を見える化した場合のイメージ(設備稼働の例)
見える化を実施すると、以下のようなメリットがあります。
▼工場を見える化するメリット
- 製造現場の課題を把握できる
- 属人化を防止できる
- スピーディな意思決定ができる
製造工程・設備稼働・業務内容の状態を見える化すると、工数がかかっている業務や手戻りが発生しやすい工程など、現状の課題を明らかにできます。課題を明らかにすることで、業務の効率化やミスの防止に向けた改善策を検討できるようになります。
また、製造現場の業務内容・工程を棚卸しして担当者が持つ知識・技術・ノウハウなどを明らかにすることで、業務の標準化を図れます。これまで特定の担当者しか対応できなかった業務が標準化されることによって属人化を防止できます。
さらに、工程全体の状態を見える化できれば、トラブルを早期発見して打ち手を講じたり、客観的なデータに基づいて意思決定を行ったり、スピーディな意思決定を行うことも可能です。
工場を見える化する方法
工場の見える化を実現するには、生産実績、生産設備、業務で見える化を進めていく必要があります。
生産実績の見える化
生産実績の見える化とは、工場で必要な生産実績を一元管理し、どこからでも現場の状況をリアルタイムに見える化することです。具体的には、各生産工程において、いつどれだけ生産したのか、在庫がどのような状況なのか、といった情報が生産実績として扱われています。
生産実績の見える化を実施する際に取得するデータには、以下が挙げられます。
▼データ例
- 生産数
- 在庫、仕掛品
- 不良数
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生産設備の見える化
生産設備の見える化とは、工場内にある生産設備の稼働状況を数値化し、具体的に示すことです。
そのためには、設備毎に多種多様な方法で設備データを収集・蓄積するとともに、見える化できる体制の構築が必要です。また、製造現場の状況に応じて、設備を制御する管理体制の構築も必要です。
取得するデータには、以下が挙げられます。
▼データ例
- 設備稼働データ
- 検査データ など
また、稼働データを取得して見える化するには、以下のような機器やツールを用意します。
▼稼働データの取得・見える化に必要なもの
- データを取得する機器(IoTセンサー・カメラ、アナログセンサー、PLC、設備ログなど)
- データを蓄積・管理するツール(DWH、データレイク、DMPなど)
- ツールを利用するためインターネット環境やIT端末
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業務の見える化
業務の見える化とは、製造工程や業務内容など、人が行っている業務を分かりやすく表面化することです。業務を見える化するには、以下のような取り組みが挙げられます。
▼業務を見える化する取り組み例
- 業務フロー図を作成する(各工程の流れや関連性、業務内容、業務手順、担当者などを図式化してまとめる)
- 紙媒体で管理している点検・検査のチェックリストや業務報告書、日報などをデジタル化する
これらを実践することで、“いつ・誰か・どこで・どの業務を・どう対応しているか”を洗い出せます。
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工場で見える化を活用する例
工場を見える化することで、製造工程・生産設備の稼働状況などをデータとして確認できるようになり、スマート工場の実現につながります。ここからは、見える化を活用してどのようなことができるかを解説します。
生産設備の遠隔監視
工場内にある生産設備の稼働データを収集して見える化すると、遠隔監視ができるようになります。目視による点検や巡回が不要になるため、現場作業員の省人化につながるほか、点検業務の属人化も防止できます。
また、通常と異なる動作や不具合を検知するセンサー・システムを導入することで、設備の停止を防ぐ予知保全の実現が可能です。これにより、生産品質の向上や設備保全の最適化も期待できます。
人材育成・技術継承
業務フローや業務手順などを見える化してマニュアルを作成すれば、業務の標準化を図ることができ、人材育成をスムーズに進められるようになります。
また、ウェアラブル機器や画像認識技術などの活用により、ベテラン作業員が勘・経験を基に行ってきた業務がデータ化されるため、技術継承にも役立てられます。
エネルギー管理による省エネ化
生産設備の稼働や工場の運営におけるエネルギー使用量を計測して見える化することで、工場のエネルギー管理が行えるようになります。
設備・製造工程、製品別のエネルギー使用量を分析することによって、エネルギーロスが発生している箇所や、消費量が多い設備などを把握することが可能です。
エネルギー使用量に基づいて、運転の制御や高効率な設備への入れ替えなどの改善策を講じることで、省エネ化につながります。
データ解析による要因究明と対策
工場で使用するさまざまな生産設備・システムなどが持つデータを一元化して、データ解析による要因の究明と対策を講じることが可能です。
見える化によって取得したデータを解析することで、品質の安定化に向けた運用改善を図れるほか、過去実績や設計情報などを利用した新たな製品・工法の開発にも役立てられます。
なお、弊社のビッグデータ解析サービス・データ有効活用サービスを活用して、特性を安定化させた事例についてはこちらで紹介しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、製造業における工場の見える化について以下の内容を解説しました。
- 工場を見える化するメリット
- 工場を見える化する方法
- 工場で見える化を活用する例
工場を見える化することで、製造現場における課題を把握できるほか、業務の標準化によって属人化を防止できる、スピーディな意思決定ができるといったメリットがあります。
見える化の実現により、生産設備の遠隔監視や人材育成・技術継承、エネルギー管理による省エネ化、データ解析による要因究明と対策などを行うことが可能です。
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