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アナログデータのデジタル化とは?データの特徴比較と導入方法

近年、企業活動において「アナログデータのデジタル化」は、事業継続や競争力維持のために欠かせない取り組みです。

紙の文書・会議の音声記録・工場でのアナログ計測データなどをデジタル化することで、保存・共有・分析の効率化が可能です。さらに、クラウド環境を活用することで、BCP対策や情報セキュリティ強化といった側面も対策できます。

本記事では、アナログデータの特徴とデジタルデータとの違い、具体的なデジタル化手法を解説します。アットフィールズテクノロジーの取り組み事例も掲載しているので、アナログデータのデジタル化をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.アナログデータのデジタル化とは
  2. 2.デジタル化のメリット
    1. 2.1.①保存性・安全性の向上
    2. 2.2.②データ分析による意思決定の高度化
  3. 3.デジタル化推進の課題と解決策
    1. 3.1.①コスト・セキュリティの課題
    2. 3.2.②政府・業界の推進施策とガイドラインで解決策を見出す
  4. 4.アナログデータとデジタルデータの特徴比較
    1. 4.1.アナログデータの特徴
    2. 4.2.デジタルデータの特徴
  5. 5.アナログデータの代表例とデジタル化手法
    1. 5.1.音声・画像・文書などのアナログデータ例
    2. 5.2.デジタル化の代表的な方法(スキャナ・OCR・音声認識など)
  6. 6.アットフィールズテクノロジー事例
    1. 6.1.事例:現場作業のペーパーレス化
  7. 7.まとめ

アナログデータのデジタル化とは

アナログデータのデジタル化とは、紙の契約書・カセットテープの音声といった「物理的に存在する情報」を、IT機器やクラウド上で扱えるデータ形式へと変換することです。デジタルデータなら検索・共有・保存に加えて、分析までがスムーズになります。

▼一般的なデジタル化例

業務

導入手法

効果

オフィス業務

紙契約書・請求書をスキャンしてPDF化し、クラウド保存

保管スペース削減、紛失リスク低減、検索・共有性向上

会議

録音データを音声認識システムで文字起こし、議事録自動生成

作業負担の軽減、情報共有のスピード向上

▼製造業におけるデジタル化例

対象

導入手法

効果

設備稼働データ

センサーで稼働・検査データを自動収集・蓄積

データのリアルタイム蓄積と分析基盤化

手書き帳票

温度・圧力などの紙帳票をスキャナ+OCRでデータ化

検索性・再利用性の向上

映像・音声保存

作業工程をビデオで記録し、AIによる映像解析を併用

不良検知、工程異常把握、品質改善活動への応用

工場のDXについては、関連記事をご覧ください。

デジタル化のメリット

アナログデータをデジタル化するメリットは次の2点です。

  1. 保存・共有・検索性の向上

  2. データ分析による意思決定の高度化

①保存性・安全性の向上

1つ目のメリットは保存性と利便性の向上です。デジタルデータはクラウドや社内サーバに保存でき、複数拠点に共有・バックアップすることで、災害時の事業継続性(BCP)を確保できます。

さらに、アクセス権限の設定により、社内外の関係者と必要なデータのみを共有できます。紙資料のように、郵送や紛失のリスクがありません。デジタル化によって、業務プロセスそのものを効率化し、生産性を高める仕組み化が可能です。

②データ分析による意思決定の高度化

2つ目のメリットはデジタルデータの分析によって経営判断に役立てられます。

デジタル化によって得られるデータは、BIツールや統計解析、機械学習ツールに入力可能です。「経験や勘」に頼らない意思決定をサポートします。デジタルデータは、企業の競争力を強化するための戦略的資産として活用が可能です。

AIの活用法や事例は、下記の記事で詳しく解説しています。

デジタル化推進の課題と解決策

デジタル化の課題となるのは、主に次の2点です。

  1. コスト・セキュリティ・標準化の課題

  2. 政府・業界の推進施策とガイドライン

①コスト・セキュリティの課題

デジタル化には次のような初期投資が必要です。

  • スキャナ

  • OCRソフトウェア導入

  • センサー設置

  • クラウド環境の構築

上記に加えて、システムを安定運用するための維持コストも発生します。そのため、ROI(投資対効果)を意識した段階的導入が不可欠です。

また、セキュリティリスクの対策も必要になります。外部からのサイバー攻撃や内部からの情報漏洩によってデータが流出すると、企業の信用問題となりかねません。機密データは、暗号化・多要素認証・アクセス権限管理など、多層的な対策が必須です。

②政府・業界の推進施策とガイドラインで解決策を見出す

デジタル化に伴うコスト・セキュリティの問題は、政府・業界のサポートで解決できる可能性があります。デジタル化を進める際に役立つ施策・ガイドラインを、以下にまとめました。

主体

施策・資料

内容

デジタル化への効果

総務省

情報通信白書

  • デジタル化の進展状況や課題を整理
  • 中小企業の導入遅れを課題と設定

中小企業が自社課題を把握し、対応策を検討する基盤となる

経済産業省

DXレポート

  • レガシーシステム維持による競争力低下を警告
  • 産業全体でのデジタルシフトの必要性を強調

企業がDXを進める必要性を認識し、投資判断の後押しを行う

デジタル庁

デジタル社会の重点計画/標準ガイドライン

  • セキュリティ基準やデータフォーマットの標準化を推進
  • 企業の取り組みやすい環境を整備

データの相互運用性が高まり、業界横断的な連携が可能となる

政府・業界団体

補助金・支援制度

中小企業を中心にデジタル化導入を後押し

費用面の課題を軽減し、無理のない導入を促進

デジタル化の際、企業単独で行う必要はありません。国や業界団体が提供する施策・ガイドラインを活用することでコストの軽減は可能です。

出典:総務省『情報通信白書』/経済産業省『DXレポート』/デジタル庁『標準ガイドライン

アナログデータとデジタルデータの特徴比較

アナログデータとデジタルデータには、それぞれ次のような特徴があります。

アナログデータの特徴

アナログデータは、連続的・物理的な情報形態です。デジタルよりも細かい情報を記録できる一方、以下のような課題を抱えています。

課題

詳細

劣化しやすい

  • 磁気テープ:経年劣化により、伸びや磁気の低下が生じる
  • 紙:湿度や摩耗による破損のリスクが高い

複製が難しい

  • コピーのたびに品質が低下
  • 音声・映像はノイズの影響が顕著

検索性が低い

  • 必要な情報は物理的に探すしかない
  • 業務効率を下げる要因

デジタルデータの特徴

デジタルデータは、離散的な数値や記号として表現されるため、以下のメリットを持ちます。

メリット

詳細

品質の保持

  • コピーしても劣化しない
  • 再現性が高い

長期保存に対応

  • バックアップやクラウド保存が可能
  • 災害時の復旧が比較的用意

ツールによる分析が可能

  • AIや統計解析ツールに入力可能
  • 新たな知見の発見や業務改善が期待できる

デジタル化した画像・音声データは品質を損なわずに、複製や共有が可能です。さらに、文字データ化すれば、検索や自然言語処理による分析が実現できます。

製造業のデータ分析については、関連記事もご参照ください。

アナログデータの代表例とデジタル化手法

アナログデータの種類は多種多様です。ビジネスや製造現場で扱うアナログデータによって、最適なデジタル化の形は異なります。ここでは代表的なアナログデータの例とデジタル化の方法を解説します。

音声・画像・文書などのアナログデータ例

アナログデータの一例を、以下にまとめました。

アナログデータ例

主な課題

補足

音声データ

必要箇所を探すのに膨大な時間がかかる

内容を聞き返す必要があり、業務効率を低下させる要因

計測データ

分析・傾向把握が難しい

紙帳票ではデータ集計や解析が手間であり、活用に制約

紙文書

保管スペースが膨大/検索困難/散逸・劣化リスク

契約書・設計図面などを紙で保存する限界

画像・映像データ

検索性・共有性が不足

フィルム・アナログビデオは扱いづらく、活用が限定されがち

このように、アナログデータは日常業務に広く存在する一方で、物理的な制約が存在します。デジタル化による効率化を行うことで、保存性・検索性の向上が可能です。

デジタル化の代表的な方法(スキャナ・OCR・音声認識など)

デジタル化の方法は、データの種類によって異なります。一例を、以下にまとめました。

データ種類

デジタル化方法

活用効果

文書データ

スキャナ+OCRで取り込み、検索可能なテキスト化

契約書・伝票から必要情報を瞬時に検索、業務効率化

音声データ

音声認識技術で自動テキスト化、AIで感情分析やニーズ抽出

議事録作成や顧客応対分析、マーケティング改善に応用

画像・映像データ

高解像度デジタル保存+AI画像解析で物体認識・品質検査

不良品検出や工程異常の早期発見に活用

計測データ

センサーでリアルタイム収集し、クラウドや社内サーバに蓄積

異常検知や予防保全、設備管理に活用

このように、デジタル化は単なる「電子化」ではなく、AIやデータサイエンスと融合することで、業務改善や新たなビジネス価値の創出を可能にするプロセスとなります。

デジタル化したデータの活用方法は、下記資料に詳しく記載していますので、ご活用ください。

アットフィールズテクノロジー事例

アットフィールズテクノロジーによるアナログデータのデジタル化事例をご紹介します。

事例:現場作業のペーパーレス化

事例1:不良記録のペーパーレス化

品質異常や不具合発生時に、現場担当者が紙に記入した後、管理者が電子ファイルに集計結果を入力する運用としていました。しかし、不具合発生時のタイムリーな共有が困難となり、かつ、対策の徹底不十分による再発が発生します。
当社では、不具合情報を管理するシステムを構築しました。不具合情報から対策までをWebで入力、参照でき、ワークフローによる情報共有可能なシステムを確立。DBで一元管理することで、情報活用による製造品質の向上が実現できました。


事例2:設備点検作業のペーパーレス化

設備点検業務の実績を紙で記録・管理していました。しかし、人間の目視・記入によるチェックであったため、作業の漏れや記入ミスを完全には防げず、他者からの状況の把握も困難になります。
当社では、保全情報を管理するシステムを構築しました。設備点検時の確認項目をマスタ化し、担当者は保全作業を参照しながら結果をタブレットに入力できるシステムを確立。作業の抜け漏れ防止と情報活用による分析精度が向上しました。


このように、アットフィールズテクノロジーは、製造現場で活用できるシステムをご提供し、業務プロセス全体の効率化とデータ駆動側の改善活動を実現しています。

まとめ

本記事では、アナログデータのデジタル化について、以下の内容を解説しました。

  • アナログデータのデジタル化とは

  • デジタル化のメリット

  • デジタル化推進の課題と解決策

  • アナログデータとデジタルデータの特徴比較

  • アナログデータの代表例とデジタル化手法

  • アットフィールズテクノロジー事例

アナログデータのデジタル化は、単なる効率化ではなく、企業がDXを推進し競争力を高める基盤です。紙文書や音声記録、計測データをデジタル化することで、保存・共有・検索性が向上します。さらに、データ分析を通じた高度な意思決定が可能です。

しかし同時に、コストやセキュリティ、標準化といった課題も存在します。こうした課題は、政府のガイドラインや支援施策を活用しながら解決することになります。

アットフィールズテクノロジーでは、IT技術を活用して製造工場のスマート化をゼロからサポート。インフォメーションテクノロジー・データサイエンス・インダストリアルエンジニアリングの専門知見を活かし、企業のデジタル化をトータルで支援します。

MES(製造実行システム)』と『データコレクション』を組み合わせることで、製造工程の可視化やリアルタイム管理を実現。現場の生産性向上や、不良削減にも寄与します。導入事例のように、業務改善とDX推進の強力な基盤を提供可能。

アナログデータのデジタル化によるデータ蓄積・生産システムの導入をご検討の方は、ぜひご相談ください。

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