アナログメーター読み取りの目視点検における課題。自動化で期待できる効果とは
製造工場やプラントでは、生産設備を安定して稼働させるために日常的な点検が行われています。
なかでもアナログメーターの点検は、施設内に点在する設置場所を巡回して目視で数値の読み取り・記録を行う必要があるため、負担がかかりやすい業務の一つとされています。このような日々の点検業務を効率化するには、人の手で行ってきた作業を自動化することが有効です。
この記事では、アナログメーターの点検を目視で行う課題や自動化によって期待できる効果、自動化する方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.アナログメーターを目視で点検している現場の課題
- 1.1.巡回や記録作業に負担がかかる
- 1.2.点検漏れや記入ミスが発生する
- 1.3.点検記録のデータを円滑に共有できない
- 2.アナログメーターの読み取りを自動化することによる効果
- 2.1.➀点検業務の省人化
- 2.2.②設備点検の精度向上
- 2.3.③予知保全の実現
- 3.アナログメーターの読み取りを自動化する方法
- 4.まとめ
アナログメーターを目視で点検している現場の課題
生産設備に設置されたアナログメーターを目視で点検している場合には、作業員の業務負担がかかるほか、点検精度やデータの活用などに課題があります。
巡回や記録作業に負担がかかる
アナログメーターを目視で点検する際には、作業員が設置場所まで出向いて数値の読み取りを行う必要があるため、現場の負担がかかります。
例えば、大規模な施設でアナログメーターが各箇所に点在している場合には、巡回による移動や手作業での記録などに多くの時間を要するケースもあり、人手不足を招く可能性が考えられます。
また、遠隔地や立ち入りが困難な場所にあるアナログメーターを読み取るには、移動だけでも労力がかかるほか、点検時の事故が発生するリスクも懸念されます。
点検漏れや記入ミスが発生する
点検漏れや記入ミスが発生しやすいことも課題の一つです。
作業員が目視でアナログメーターを点検する際には、1日のうち複数回にわたって数値の読み取りとチェックシートへの記録を行う必要があります。
人の手が介在するプロセスが多くなるほど、点検漏れや記入ミスが発生する可能性があるため、設備点検の正確性を担保できなくなります。そのほか作業員のスキルや経験などによって点検の品質にばらつきが生じやすいといった問題もあります。
点検記録のデータを円滑に共有できない
アナログメーターの点検記録を紙媒体のチェックシートで管理している場合には、データを円滑に共有することが難しくなります。
紙媒体のチェックシートに記録した点検記録は、社内システムに転記してデータとして活用できるように加工する必要があり、時間と労力がかかります。
技術部門・品質管理部門と点検記録を速やかに共有するのが難しい場合には、不具合や故障の兆候が見られていても次の点検時まで発見できないケースがあります。
アナログメーターの読み取りを自動化することによる効果
アナログメーターの読み取りを自動化すると、設置場所まで出向かずに数値を取得・集計できるようになり、現場へのよい効果が期待できます。
➀点検業務の省人化
工場に点在するアナログメーターの数値を自動で取得できると、点検業務を省人化することが可能です。
多くのアナログメーターがある大規模な施設でも、作業員が現地に出向いて読み取る必要がなくなるため、点検業務にかかる時間・労力を削減できます。また、高所や高温環境での点検も安全に行うことが可能です。
これまで点検業務を担当していた作業員をほかの業務に割り当てると、製造現場における人手不足の解消や生産性の向上にも貢献します。
②設備点検の精度向上
目視による点検業務を自動化すると点検漏れ・記入ミスを防げるようになり、設備点検の精度向上につながります。
アナログメーターの数値を自動で収集・集計できると、作業員のスキルや経験による点検業務のばらつきを防げるほか属人化の解消を図れます。
また、点検業務の精度が向上すれば、一定期間の稼働データに基づいた保全計画を立てられるようになり、生産設備の安定稼働を目指すことが可能です。
③予知保全の実現
アナログメーターの読み取りを自動化すると、人の手で行ってきた定期的な点検に替わって常時での監視が可能になり、予知保全を実現できます。
作業員が巡回して点検する場合には、点検時点での数値のみを記録するため、常に設備の稼働状況を監視することはできません。
アナログメーターの数値データを自動かつ継続的に取得できると、しきい値から逸脱する変化を速やかに把握して、不具合や異常の兆候をつかむことが可能です。点検記録のデータは技術部門・品質管理部門と円滑に共有できるため、保全計画の精度向上に役立てられます。
アナログメーターの読み取りを自動化する方法
アナログメーターの読み取りを自動化するために、デジタル出力が可能なメーターへ変更するほか、メーターに機器を取り付けて針の位置を認識する、生産設備にカメラを設置して測定値をデータ化するといった、様々な手法が導入されています。
『アットフィールズテクノロジー』では、設備を止めることなく、複数のメーターを一度に読み取ることをコンセプトとしたシステムを開発しました。これを基に、カメラの画像認識技術によってアナログメーター内にある針の位置を読み取り、システム上で画像データを数値に変換して表示するアプリケーションを提供しています。
▼アナログメーター読み取りのシステムイメージ
カメラで読み取った画像データは数値に変換されてPC上でリアルタイムに確認できるようになります。画面上で正常値・異常値を確認するだけでなく、しきい値を超えた場合にメールで通知する機能も備わっているため、予知保全にも役立てられます。
また、1台のカメラで10台のアナログメーターを読み取りできるようになっており、施設の規模に応じて導入することが可能です。
▼読み取りが可能なアナログメーターの例
- 針の可動域が扇型でメモリが等間隔のもの
- 7セグメントで数字表示されるもの
ただし、使用環境によってはアナログメーターをうまく読み取れない場合があります。カメラ以外の方法でデータを取得・集計できるケースもあるため、事前にご相談ください。
まとめ
この記事では、アナログメーターについて以下の内容を解説しました。
- アナログメーターを目視で点検する課題
- アナログメーターの読み取りを自動化することによる効果
- アナログメーターの読み取りを自動化する方法
生産設備に設置されたアナログメーターを目視で読み取っている場合には、点検業務に負担がかかるほか、人的ミスが発生したり、点検記録をほかの部門と円滑に共有できなかったりする課題があります。
カメラを用いてアナログメーターの読み取りを自動化することで、現地に出向いて確認・記録する必要がなくなり、点検業務の省人化や精度の向上を図れます。
また、生産設備のアナログメーターを常時監視できるようになると、測定値の変化を検知して不具合や故障を未然に防ぐことが可能です。技術部門や品質管理部門と蓄積したデータを共有すると、保全計画にも役立てられます。
『アットフィールズテクノロジー』では、カメラを使ってアナログメーターを読み取るアプリケーション「@Fields YomuZo」を提供しています。作業員による目視点検を自動化して、業務改善や予知保全の実現に貢献します。
詳しくは、こちらのページをご確認ください。