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仮想サーバーを構築する2つの手法。得られるメリットや取り組むポイント

IoT・AIなどのデジタル技術やビッグデータの利活用は、製造業のビジネスモデルに革新的な変革をもたらしています。

一方で、自社内で管理するIT資産が多岐にわたり、安定稼働に欠かせない運用管理において労力・コストが増大しているという課題も見られています。この課題を解決する対応策として、仮想サーバーの構築が挙げられます。

情報システム部門や技術部門に携わる管理者のなかには「仮想サーバーの構築方法には何があるのか」「どのようなメリットがあるのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、仮想サーバーの仕組みや構築する手法、得られるメリット、構築する際のポイントについて解説します。

なお、仮想サーバーの構築についてはこちらの資料をご確認ください。

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目次[非表示]

  1. 1.仮想サーバーの仕組み
  2. 2.仮想サーバーを構築する手法
    1. 2.1.➀ホストOS型
    2. 2.2.②ハイパーバイザー型
  3. 3.仮想サーバーを構築するメリット
    1. 3.1.リソースの有効活用
    2. 3.2.ランニングコストの削減
    3. 3.3.古い既存システムの継続運用
    4. 3.4.施設内スペースの削減
  4. 4.仮想サーバーを構築する際のポイント
    1. 4.1.➀既存環境の状況を分析・評価する
    2. 4.2.②移行後に必要なリソースを確認する
  5. 5.工場に仮想サーバーを構築した事例
  6. 6.まとめ


仮想サーバーの仕組み

仮想サーバーとは、1台の物理サーバー上に構築した仮想的なサーバーを指します。

通常、物理サーバーは1台に対して1つのOSをインストールして運用を行います。これに対して仮想サーバーは、1台の物理サーバー上で複数のOSを同時に稼働させてそれぞれ独立したサーバーとして運用することが可能です。


▼従来環境から仮想サーバーへの統合イメージ

従来環境から仮想サーバーへの統合イメージ


仮想サーバーを構築することにより、施設内に設置する物理サーバーの設置台数を減らせるほか、複数のOSを集約して一元管理できるようになります。



仮想サーバーを構築する手法

仮想サーバーを構築するには、サーバーを仮想化するための専用のソフトウェア(以下、仮想化ソフトウェア)をインストールする必要があります。仮想化ソフトウェアの種類によって、大きく2つの手法に分けられます。


➀ホストOS型

ホストOS型は、物理サーバー上にインストールされているWindowsやLinuxといったホストOSに仮想化ソフトウェアをインストールして、仮想環境で仮想サーバーを動かす方式です。

ホストOSを土台とすることから、既存のハードウェアをそのまま使用して、アプリケーションを導入するようなプロセスで手軽に仮想サーバーを構築できます。

ただし、1つのハードウェア内で複数のゲストOSを稼働させると、処理速度が低下してしまう可能性があります。


②ハイパーバイザー型

ハイパーバイザー型は、物理サーバーのハードウェアに仮想化ソフトウェアを直接インストールして、仮想サーバーを動かす方式です。

仮想化ソフトウェアを土台として既存のホストOSを経由せずに仮想サーバーを稼働できるため、仮想サーバーにかかる負荷を抑えて処理能力を維持しやすくなります。

ただし、現状の物理サーバーがハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェアに対応していない場合には、新たにハードウェアの準備が必要になります。



仮想サーバーを構築するメリット

仮想サーバーを構築することで、複数の物理サーバーで運用していた従来の環境を1台の物理サーバーに集約できるため、サーバー環境の最適化を図ることができます。


リソースの有効活用

OSごとに別々の物理サーバーを運用している施設では、それぞれのサーバー内でCPUやメモリなどの余剰リソースが発生することがあります。

仮想サーバーであれば、複数の物理サーバーを1つに統合して1台分のリソースを効率的に配分することが可能です。

また、1つの物理サーバーを稼働させるハードウェアを共有するため、拡張が必要になった際にも新たに機器を調達する必要がありません。物理サーバーのリソースが残っている限り、仮想サーバーの数を増やすことが可能です。


ランニングコストの削減

仮想サーバーによって施設内に設置していた物理サーバーの台数を減らすことで、点検・メンテナンスなどにかかる保守費用を削減できます。

また、物理サーバーの運用にはさまざまなハードウェアを稼働させるため、台数が多くなるほど消費電力が増加しやすくなります。仮想サーバーを構築することにより、物理サーバーによる消費電力を抑えてエネルギーコストを削減できます。


古い既存システムの継続運用

仮想化環境を利用することで、古いシステムを効果的に運用することが可能です。

物理的サーバーに依存せず、古いシステムを現代のハードウェア上で動作させることができ、レガシーソフトウェアの互換性問題を解決することができます。

さらに、仮想化環境はスナップショットやバックアップ機能を提供するため、システムの安定性とデータの保護も向上します。これにより、万が一の障害発生時にも迅速に復旧することが可能です。


施設内スペースの削減

複数の物理サーバーを運用している施設では、サーバー機器やネットワーク関連機器などを設置する場所が必要になります。

仮想サーバーを構築して物理サーバーの台数を減らすことで、施設内に各種ハードウェアを設置するスペースを削減できるため、空いたスペースをほかの用途に活用することが可能です。



仮想サーバーを構築する際のポイント

仮想サーバーを構築する際には、現場の運用規模に合ったリソースを確保できるように仮想環境を見積もっておくことが重要です。


➀既存環境の状況を分析・評価する

物理サーバーの仮想化を始める際は、既存環境の使用状況を分析・評価する必要があります。

仮想サーバーの処理能力は、物理サーバーのリソースに依存します。物理サーバーの性能や仮想環境で稼働させるアプリケーション数によっては、パフォーマンスが低下する可能性があります。


▼既存環境の分析項目

  • 物理サーバーの台数
  • 運用中のOS
  • 物理サーバーが備えるハードウェアのリソース
  • 業務に使用するシステムの構成
  • 負荷状況やレスポンス など


現状のサーバー環境を棚卸して、運用課題やリソースの過不足状況などを可視化することにより、自社に合った仮想サーバーのサイジングが可能になります。


②移行後に必要なリソースを確認する

仮想サーバーの立ち上げ時には、仮想サーバーで稼働させる各アプリケーションが必要とするリソースについても確認しておくことが重要です。

運用するなかでアプリケーションのリソースが不足した場合には、各仮想サーバーのリソースを再分配したり、基盤となる物理サーバーのリプレイスを行ったりする方法を検討する必要があります。



工場に仮想サーバーを構築した事例

工場内に分散配置していた大規模な物理サーバーを更新して、仮想サーバーを構築したアットフィールズテクノロジーの事例を紹介します。


【課題】

システムの稼働が長期にわたり、安定稼働を継続できなくなるリスクが懸念されていたほか、老朽化したシステムの保守管理にかかるコストも増大している課題がありました。


【施策】

システムの老朽化対策とコストの最適化を図るために、約500台の物理サーバーを更新して仮想化を行いました。また、OSごとに最適な仮想化技術を用いて、700以上の既存システムを継続利用できる環境を構築しました。


【効果】

物理サーバーの台数が約60台に減ったことでランニングコストの削減効果が見られました。また、物理サーバーの処理能力が向上して、リソースの有効活用を実現できたとのことです。


▼仮想サーバー化による処理能力の変化

仮想サーバー化による処理能力の変化


仮想サーバー化によって、物理サーバーのCPU使用率が90%から25%まで削減、アプリケーションの処理速度が85秒から20秒まで短縮しました。



まとめ

この記事では、仮想サーバーについて以下の内容を解説しました。


  • 仮想サーバーの仕組み
  • 仮想サーバーを構築する手法
  • 仮想サーバーを構築するメリット
  • 仮想サーバーを構築する際のポイント
  • アットフィールズテクノロジーがサポートした仮想サーバー化の事例


施設内に分散している複数の物理サーバーを仮想化すると、物理サーバーを統合して異なるOSを同時に稼働させることが可能になります。

これにより、物理サーバーの保守運用にかかるランニングコストの削減を図れるほか、リソースの有効活用、既存システムの継続利用などを実現できます。

現場の運用規模によって適した仮想サーバーの環境は異なるため、既存環境の状況を分析・評価したうえで必要なリソースを確認・配分することがポイントです。

アットフィールズテクノロジー』では、入念なアセスメントによって仮想サーバーのアーキテクチャを設計するとともに、構築・導入までのきめ細かなサポートにより、既存環境からの安定移行を実現いたします。

仮想サーバーの構築についてはこちらの資料をご確認ください。

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